教学マネジメント指針の実装手順|担当・作業・時期に分けて進める考え方
教学マネジメント指針への対応を任されたものの、「何から手をつけるか」「誰を巻き込むか」で止まっていませんか。この記事では、教務・企画・IR担当の大学職員の方に向けて、自学で実装を進めるための手順を、担当・作業・時期に分けて整理します。学修成果の把握と可視化を中心に置き、情報公表までを一本の流れで設計する考え方を扱います。
ご注意:この記事は実装の進め方についての助言が中心です。指針の各項目の正確な記述、策定時点、追補の内容は、文部科学省の公開ページ(「教学マネジメント指針」掲載ページ)で原文をご確認ください。本稿の作成時には本文の取得ができなかったため、指針の条文内容そのものは引用していません。
教学マネジメント指針とは何か
教学マネジメント指針は、大学の教学運営に関する指針です。経緯は文部科学省の掲載ページから確認できます。実装に着手する前に、まず本文と追補を担当者全員で読み合わせることをおすすめします。
実装の前提:指針を「誰が・何を・いつ」に分解する
指針は、そのまま読むと抽象度が高く、担当課に落とし込みにくい文書です。そこで、原文の項目ごとに次の3点を書き出す作業から始めます。
- その項目に関わる学内の現状(既存の規程、会議体、データ、システム)
- 不足している点と、その解消に必要な作業
- 責任部署と、年度内のどの時期に何を終えるか
この分解を最初に行うと、学内合意の場で「何をやらないか」も議論しやすくなります。
担当・作業・時期の整理表(進め方の例)
以下は指針の5項目そのものではなく、実装を進める際の作業単位の一例です。各行を、原文の項目に対応づけて使ってください。時期は目安であり、学内の会議サイクルに合わせて調整します。
| 段階 | 主な担当 | 主な作業 | 時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 現状の棚卸し | 企画・教務 | 指針の項目ごとに、学内の規程・会議体・既存データを一覧化する | 着手後の最初の1〜2か月 |
| 2. 学内合意と体制づくり | 企画・教学担当の教員・管理職 | 責任部署と会議体を決め、作業の優先順位を合意する | 棚卸しの完了後 |
| 3. 学修成果データの整備 | 教務・IR・情報システム | 成績、アンケート等の所在と定義をそろえ、集計できる形にする | 学期をまたいで継続 |
| 4. 把握と可視化 | IR・教務・教員 | 集めたデータを学生本人と教育改善の双方に使える形で示す | データ整備と並行して試行 |
| 5. 情報公表 | 企画・広報 | 公表する項目と更新の担当・頻度を決める | 年度ごとの更新サイクルに組み込む |
| 6. 点検と見直し | 企画・内部質保証担当 | 実施状況を点検し、次年度の計画に反映する | 年度末 |
学修成果の把握と可視化:データの整備から始める
学修成果の把握は、新しい指標を考える前に、すでにあるデータを確認することから始めるのが現実的です。次の順で進めます。
- データの所在を洗い出す。成績、履修、アンケート、ポートフォリオなどが、どの部署のどのシステムやExcelにあるかを書き出します。
- 定義をそろえる。同じ名前の項目でも部署ごとに意味が違うことがあります。学籍番号や学期の持ち方など、結合に必要な最低限の定義を先に決めます。
- 小さく可視化を試す。全学一斉ではなく、特定の学部・学年など範囲を絞って見せ方を試し、教員や学生の反応を聞きます。
- 使われ方を確認する。可視化した結果が教育の改善や学生の振り返りに使われているかを確認し、使われていなければ見せ方を変えます。
紙・Excel・属人化した手順が残っている場合は、可視化の前にデータの収集・更新の手順を整えることが、結果的に近道になります。
情報公表までを一本の流れで設計する
情報公表を最後に慌てて行う作業にしないために、データ整備の段階から「何を公表する可能性があるか」を意識しておきます。公表する項目、元データの所在、更新担当、確認者を一覧にしておけば、年度ごとの更新が定型業務になります。公表すべき範囲の正確な確認は、文部科学省の原文に当たってください。
学内合意と体制づくりで押さえたいこと
- 責任部署を一つに決め、他部署は協力部署として役割を明記する
- 既存の会議体で扱えるものは新設せず、議題として組み込む
- 教員への依頼は、目的と使い道を先に説明し、負担が増える点は正直に伝える
- 完璧な設計を待たず、小さく始めて学期ごとに見直す
まとめ
教学マネジメント指針の実装は、①原文を担当・作業・時期に分解する、②学内合意と体制を決める、③学修成果のデータを整え可視化する、④情報公表と点検を年度サイクルに組み込む、という順で進めると整理しやすくなります。進め方や体制づくりについてご相談がある場合は、お問い合わせからご連絡ください。