学修成果の可視化を起点に、学生一人ひとりと向き合う教学へ。大同大学が進める教学マネジメントの現在地
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学修成果MOE
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退学防止・学生フォロー
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データ活用・可視化
大同大学
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導入時期
2023年
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概要
◆導入検討のきっかけ
成績だけでは見えない、学生一人ひとりの成長を大学として捉え直す必要性を感じたため。
◆導入の決め手
学生の成長を支える教学の視点を共有でき、無理なく継続運用できる仕組みであったため。
◆導入後に見られた変化
学生の振り返りが可視化され、根拠に基づく教学議論や学生理解が進み始めた。
◆運用・活用における工夫
執行部が前に立ち、FDや数値共有を通じて教員理解を粘り強く促している。
interview
MEMBER
参加者
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副学長
棚橋 秀行 様
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法人本部 企画室
室長
森川 博光 様
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法人本部 企画室
菱田 敏貴 様
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法人本部 企画室
小芦 佳広 様
学修成果の可視化に取り組まれた背景を教えてください。
棚橋副学長:
本学が学修成果の可視化に取り組み始めた背景には、制度対応というよりも、学生一人ひとりの成長をきちんと捉えたいという思いがありました。成績やGPAといった数値は把握できていましたが、それだけでは学生が大学生活の中で何を経験し、どのように考え、どう成長しているのかまでは見えてきません。学生自身が『自分は何を学び、何を身につけたのか』を説明できる状態をつくりたいと考えていました。
森川様:
その中で、教学マネジメント指針が示され、『学修成果を可視化せよ』という外部からの要請も明確になりました。内発的にやりたいと思っていたことと、外発的な要請が重なり、『いよいよ本格的に取り組むタイミングだ』と感じたことが、導入検討の後押しになりました。
学内ではどのように検討を進めていかれたのでしょうか?
棚橋副学長:
検討は特定の部署だけで進めるのではなく、教学・情報・事務が関わるワーキンググループを立ち上げました。導入して終わりではなく、どうすれば運用し続けられるのかを最初から意識して進めていました。
特に、学生への見栄えだけではなく、成績データとの接合性や学内システムときちんと連携できるかといった点も含めて確認しました。まずは『成立するかどうか』を慎重に見極めるところからのスタートでした。
また、教職員への理解についても、一度説明して終わりではありません。入力状況などの事実を共有しながら、FDや説明の場を何回も設けて、『これは学生のために必要な取り組みだ』と伝え続けてきました」。
多くのシステムがある中で、今回の仕組み(MOE)を選んだ決め手は何でしたか?
森川様:
実は検討の初期段階では、別のシステムを有力な候補として見ていました。さまざまな選択肢を比較する中で、それぞれに特徴がありましたが、本学の体制や目指す方向性とどのように整合させていくかを考えたとき、大学側の負担がかなり大きくなることが見えてきました。
どこまで作り込むのか、その設計や調整を誰が担うのかと考えたとき、通常業務と並行して継続的に回していくのは現実的ではない、という判断になりました。
棚橋副学長:
その段階で、改めて立ち止まって考えました。私たちが本当にやりたいのは、システムを高度化することではなく、学生一人ひとりの成長をどう支え、どう把握するかという点です。
最後の最後で判断が大きく変わったのは、教学の目的と運用の現実性、その両方を満たせるかどうかでした。学修成果MOEは、大学側の体制やリソースを前提に設計されており、導入後の活用まで含めて一緒に考えられると感じられたことが要因です。
教員の協力を得るために、どのような工夫をされてきましたか?
棚橋副学長:
新しい取り組みが一回ですべての教員に理解されることはありません。これはもう、どんな大学でも同じだと思います。ですので、粘り強く伝え続けることが大切だと考えてきました。
ただ『入力してください』とお願いするだけではなく、今の入力状況がどうなっているのかを数字で示すようにしています。学科ごとの状況を共有することで、学科長も『これはまずいな』と当事者意識を持ってくれました。
FDの場でも、単に使い方を説明するのではなく、『なぜこれが学生のためになるのか』を繰り返し伝えてきました。手間がかかると感じる部分があっても、学生一人ひとりの成長に向き合おうとする教員の姿勢もあって、ようやく理解してもらえたのだと思います。
森川様:
運用の定着という意味では、まだ道半ばだと感じています。ただ、少しずつですが、非常に丁寧なフィードバックを返してくださる先生も出てきました。そうした事例を学内で共有することで、『こういう使い方があるのか』と気づいてもらえるようにしています。
ポートフォリオは、ただ入力して終わりでは意味がありません。学生が『役に立った』『見てもらえた』と感じられるかどうかが重要です。その価値を、教職員全体で共有していくことが必要だと考えています。
棚橋副学長:
執行部が関わらず、現場任せにしてしまうと、どうしても形骸化してしまいます。だからこそ、私自身が繰り返し説明の場に立ち、時間をかけてでも伝え続けることが必要だと思っています。粘り強さは欠かせません。
導入後、現場にはどのような変化が生まれていますか?
棚橋副学長:
導入後は、学生が自分の目標や振り返りを言葉にする機会が明らかに増えました。学生が何に関心を持ち、何に悩んでいるのかが、以前よりも見えるようになってきたと感じています。
アルバイトや課外活動、将来への不安など、これまで表に出てこなかったことが書かれるようになりました。安心して書いてくれているのだと思いますし、学生の考えが時間とともに変化していく様子も見えるようになりました。
森川様:
ポートフォリオに記録が残ることで、その内容を踏まえて学生と話ができるようになりました。学生自身も、『先生が見てくれている』という意識を持つようになっていると感じます。
データの面でも、各部署に点在していた情報がポートフォリオに集約され、分析しやすくなりました。以前は分析しようとするとデータ集めから始める必要がありましたが、今はその前提が大きく変わっています。
棚橋副学長:
感覚的な判断ではなく、定量的なデータとして学年ごとの特徴を把握できるようになりました。結果を見て終わりではなく、次の打ち手を考えるために使えるようになってきていると感じています。
今後の展望についてお聞かせください。
棚橋副学長:
学修成果の可視化は、ここで完成するものではなく、これからどう活かしていくかが重要だと考えています。成績やDP到達度といった数値を並べるだけではなく、集めたデータをもとに、学生一人ひとりにとって意味のある支援につなげていきたいと思っています。
具体的には、AIなども活用しながら、入学時のミスマッチの解消や、学生が途中で立ち止まったときに、早い段階で気づけるような仕組みも検討していきたいと考えています。学生の状況を先回りして捉え、選択肢を提示できるような教学のあり方を模索しています。
森川様:
現場の立場から見ると、蓄積されたデータを、学生支援やキャリア支援とどう結びつけていくかが次のテーマだと感じています。学生自身が、自分のこれまでの取り組みを振り返り、『何を頑張ってきたのか』を整理できる材料として活用してもらいたいです。
そのためにも、ポートフォリオを単なる記録の場にせず、教職員と学生の対話を生み出す基盤として育てていく必要があります。運用を続けながら、より使われる形に磨いていきたいと考えています。
棚橋副学長:
今回、ハーモニープラスに伴走していただいたことで、学内の議論が前に進みました。今後も、教学の視点を共有しながら、次の段階に向けた取り組みを一緒に考えていけることを期待しています。
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